絵本『パンダ銭湯』
パンダ銭湯は、発行から3年で30万部を突破した、亀山達矢氏と中川敦子氏によるユニット『tupera tupera』による驚異的な大ヒット絵本です。tupera tuperaは、子どもさんのおられる方ならよくご存じと思われる「ノージーのひらめき工房」(NHKのEテレの工作番組)でアートディレクションも担当しているという、絵本やイラストはもちろん、海外においても様々な分野で活躍されている方たちです。
『パンダ銭湯』とは何か?
パンダ銭湯とは、パンダだけが行くことのできる銭湯のことです。
主役はとある動物園にいるパンダの親子(と思われます)。会話の内容からは、いつも銭湯に行くわけではないようで、お父さんパンダが銭湯に行くことを提案すると子どもパンダは大喜び!お母さんパンダも嬉しそうに準備をはじめます。
ところが、銭湯に着いた直後から物語は急展開!一般的な読者の抱いていると思われる、愛くるしいパンダのイメージはことごとく『剥がされ』ていきます(笑)。
例えば、パンダのもっともかわいい“たれ目”の模様が剥がされてショックを覚えた直後に、シュールな鋭い目が飛び出してこれまた衝撃を受け、親子の会話は飼育員さんがかわいいだのどうだの… 特に初めて読んだ大人は思わず吹き出すこと必至です。
細部にわたる遊び心
パンダ銭湯の中には、いたるところに笑いの『隠し扉』があります。それは張り紙であったり、飲み物の名前であったり、最後のページにも威厳のあるはずのお父さんパンダの『笑えるミス』も隠されています。
そして何度読み返しても、子どもはそれを指摘する事に楽しみを覚え、大人も子供もたくさんの笑いが生まれます。
子どもの反応
我が家の場合、始めて読んだ時は5歳の子どもは爆笑しました。2歳の子どもも、親の読み聞かせ方に笑っていました。そして何よりも、初めてこの絵本を読んだ私(父親)は衝撃と笑撃を受けました。
そして時が経ち、下の子が4歳になると毎日のようにこの絵本を読んでとせがむ日々が訪れました。慣れたもので、私もお父さんパンダになりきって『セリフ』,7をその気になってしゃべります。
この絵本はそもそも私の妻が『この絵本はおもしろいよ!』というお墨付きで購入しましたが、おもしろいだけでは語りつくせません。何度読んでも子どもは笑いますし、読む親も何度も楽しめます。
対象年齢という制約を“超える”最強の絵本
この絵本を読んで思ったのは、『読む側』の対象年齢が存在しない絵本が本当にあるのだ、と思ったことです。
例えば、絵本の中には哲学というものを『読み聞かせ側』に(結果として)意識させるような絵本もありますが、『パンダ銭湯』は純粋にエンターテイメントとして楽しめる、しかも読む側も聞く側も年齢を問わず楽しめる絵本だという事に驚きました。
これはあくまで私の推測ですが、各年代において一般的には異なるはずの『笑いのツボ』が、この絵本ではがっつりとシンクロしており、結果として親も子供も一緒に楽しめる『最強の絵本』となっているのではないかと思います。
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